しばらく後トイレから這うように出てきたもやしは(『腹具合』と『パラグアイ』の語感の似レベルはもう身内も同然レベルだよなあ…)などと思いつつケータイを開いて履歴を確認した。

すると予想通り通話の着信もメールの着信も同じ人物からだった。

その人物とは
『楠 陽子(16)』

彼女はもやしの幼なじみで同い年なのにお姉さんぶるところがあり、一人暮らしのもやしに何かと世話を焼きだがるのだ。

実際男子にしてはやや小柄なもやしよりも背が高く、セミロングの髪と全体的にふくよかな体型がどこか保母さんを連想させる彼女と一緒にいると兄弟に間違われる事がたまにあった。

「どうかしたのかな…」

もやしがブツブツと独り言をつぶやきながらメールを開くと、そこには一言

『ゆーふぉー!』

とだけ書いてある。

他の人からのメールでたあれば相手の脳の心配をしてしまうトコロだが、もやしは彼女の奇抜さには慣れていた。