「ねえ、おじさん。」 男は勢いよく振り向いた。 「・・?!」 後ろに人がいたことに気づかなかったらしい。 だけどもう息をすることなどない。 だからそんな疑問さえも闇に もって帰ってもらうしかない。 ポ・・タっ・・ 赤い雫が心をおおった。 心などないのかもしれない。 男をじっと見つめた。 『生』のないその瞳で。 血のかよらない悪魔の瞳で。