「高橋がなに?」


生ぬるい風を
やけにリアルに肌が感じた。
携帯の画面から顔をあげる。


「高橋が気付いてないとでも思ってるわけ?」


チクッと胸が痛んだ。
当たり前だ。
でも予想もしてなくて
いきなりの出来事に
頭がついていかなかった。

「分かってるん…」


「わかってねぇだろ!お前高橋の彼氏だろ?なんで高橋の前であんな顔できんだよ!訳わかんねー…。」


「…啓哉!ちがう!」


「お前らしくねーよ…何があったんだよ…。あの女なんなんだよ!」


「けい…。」


「見たくねぇよ…。」


え…?


「高橋のあんな顔…見たくねーんだよ。あんな顔させてんじゃねーよ。」



啓哉がうつ向いていた顔を上げ
目が合う。


「啓哉おまえ…。」