私は立ち上がって、倒れていた自転車を慌ててなおした。
「あ、足すみませんでした!!」
「え?!ちょっと君…!」
声をかけられても振り返らずに、がむしゃらにペダルをこいだ。
あの人の声がどんどん遠くなっていっても、私の心臓は、爆発寸前だった。
自分の発言が信じられない…!!
「…っ少女マンガじゃあるまいし…!!!」
通学路ですれ違う新入生にも、めもくれず
心臓のドキドキと戦いながら学校へ向かったのであった。
このときのドキドキの中に、恥ずかしさとは違う、ドキドキがあると気づくのは
まだ、だーーいぶ先の話。
そんな、私の高校生活を変えた
はじまりの春。
