店の中に入ると、チリンッとベルの音がした。



カウンターにいた黒髪の男の人が
「すみません、まだ、開店時間では な・・・」
といい掛けて。

あたしの顔を見て、ニッと笑う。


「これは!!キンパの彼女!!」


ギンと最初に行った、オムライスのお店のご主人に、あたしは頭を下げた。


「こんにちは・・・あの・・・あたし・・・」

「あいつのこと、知りたいんだろ??」


あたしは、彼を見て。
頷いた。

何でかは分からない。

でも、この人なら知っている気がした。

あたしの知らない、ギンを。



「・・・あいつは??」



カウンター席に座ったあたしに。
りんごジュースを差し出してから、彼は聞いた。
あたしは俯く。


「・・・そっか。死んだか」


沈黙が流れる。
あたしは、セーラー服のすそを両手でぎゅっと握った。

最初に口を開いたのは、マスターのほうだった。


「あいつの本名、知ってる??」

「え・・・」


あたしは顔を上げる。