ギンもあたしも、お互い何かが欠けていて。

一人じゃ寂しくて。

だから、お互いを求め合った。

一人は恐くて。

一人で死ぬのさえも恐くて。

だから、お互いに求め合って、一緒に死ぬ約束をした。

・・・一人だと、なんで寒いんだろう。


二人だと、こんなに温かいのに。



「・・・ギン・・・約束して・・・」



あたしは呟く。
あたしの瞳からも、涙がこぼれる。


「あなたは死んじゃ駄目。
・・・何があっても。約束だよ??」


ギンは、死んじゃいけない。
この人は、死んじゃいけない。

・・・死んで欲しくない。

素直に、そう思えた。


・・・この人には、生きて欲しい。
笑って。
ずっと。




「・・・じゃあ、アズサちゃんも約束してよ」


ギンがあたしの胸に顔をうずくめたまま・・・言う。



「俺の傍に居て。
ずっとずっと・・・傍に居て」



ギンを、さっきよりも強い力で抱きしめて。
ギュッと目を閉じた。
涙が、止まらなかった。

・・・こんなあたしを必要としてくれる人が居る。

そんなことが嬉しくて、たまらなくて。


・・・あたしも、ようやく誰かに必要とされてる人間になれた。



「・・・うん」



やっとのことで、返事をする。


開けっ放しの窓から、風が入ってきた。
冷たい夜風に、体がさらされて。
でも、二人だから。
寒くなんか、なくて。


あたし達は抱きしめあったまま、眠りについた。


お互いの体温を、その身で感じながら。
静かに。