「どこに行くの??」




バイクの後ろに乗って。
あたしは、目の前のギンの背中に大声で聞いた。

・・・寒い。

長袖を着ていて、本当に良かったと思う。



「んー??もうすぐだから!!」



ギンが、大声で返す。
あたしは、その背中に耳を当てる。

それから15分ほどして。
バイクは、あるアパートの前で止まった。


「・・・ここ、ギンの家??」


先にバイクから降りたあたしは、アパートを見上げながら言う。
築何十年もなってそうな、ボロアパート。

その壁の色は剥げかけており、もう、もともと何色だったのかも分からない。


「違うよー??・・・ほら、行こう!!」


いつの間にか、バイクから降りていたギンは。
あたしに向かって微笑む。
それから、スタスタとアパートの中に入っていった。


アパートは5階建てで。

でも、古すぎてエレベーターもない。


あたしとギンは、すぐ近くにあった階段を上っていく。



「そういえば、お昼も朝も、ご飯食べてないね」

「・・・あたし、お腹すいてないし」

「アズサちゃん、本当に小食だなー!!」



そんなことを話しながら。
階段を上っていく。

上りにくい階段を、踏み外さないように一歩ずつ。
確実に。


すいすいと上っていくギンの後ろを、あたしはあくせくしながら付いて行く。