――春。




「あ、すみません、中川ミヤコの部屋どこですか?」



「はい、中川さんですね。そこの階段を上がって右手の202号室ですよ」



「ありがとうございます」



そこは都内の小さな個人病院。
薄いピンクの可愛らしい壁が、あたしを迎えてくれた。



階段を上がるとすぐに、
“中川ミヤコ”と書かれたドアを見つけた。



“トントン”と軽く鳴らすと、
中から懐かしい声がした。



「はーい」



ゆっくりとドアを開けると…



「ユリ!」



久しぶりに見るミヤコの満面の笑顔が輝いていた。



「ミヤコー!おめでとう!」



「ありがとう!やっと来てくれた!ずっと待ってたんやから!」