本当にバカだ。
あんな言い方するなんて…



優也が話してたのはただの友達かもしれないし、
本当に森山夏だったとしてもなんもなかったかもしれないのに。



その時の感情にまかせて優也を困らせてしまった。



自分のバカさ加減にも呆れてしまった。
“森山夏”なんて名前まで出しちゃって…


勝手に調べたあたしに、
優也、不信に思ったかな。
もう…嫌われるのかな。



やだ…



やだよ





そう思った瞬間、
背後でドアが開く音がした。



「え?だれ?」



ママは店に行ってる時間。
この家にはあたしひとりだけ。



驚きで硬直する体でゆっくりゆっくりと振り返った。




――…そこに立っていたのは、



やらしい笑顔を浮かべた、ママの恋人“坂本”だった……