「修ちゃん・・・・本当なの?本当・・・?」
「本当だよ。俺、走れるんだ。バスケも・・・」
「・・・・・」
汐は、ぽろぽろと涙をこぼしながら、ようやく声を出した。
「修ちゃん・・・・修ちゃん・・・・良かったぁ~・・・・良かったよ・・・」
「・・・・・・」
てっきり、なんで黙ってたの、って言われてもおかしくないと思ってた。
だって、俺はそれでキミを縛ってたんだから。
「修ちゃん、また・・・バスケ、出来るんだよね?あきらめないで・・・・良かった・・・」
泣きながら一生懸命話そうとする彼女のゆれる肩を、とっさに抱きしめたい衝動にかられて思わずぎゅっ、と拳をつくった。
「これ」
投げたそれは、きらりと輝いて彼女の手の中におさまる。
小さなボールのキーホルダー。
最後まで俺の体を気遣ってくれて。
最後まで俺のバスケットボールをあきらめないでいてくれて。
本当にありがとう。

