ソラとクローバー☆もうひとつの『アルタイル』


そんな俺の気持ちはもちろん関係なしに、彼女は息をはずませてコートの中を歩いてくる。


俺は、少し微笑んでそんな彼女を見つめた。



彼女に、伝えたい。



それで、本当に俺から卒業できるなら。


それで、彼女が喜んでくれるとしたら。


それで・・・・・気持ちよく本当に好きな奴の元に行けるとしたら。




汐、見てて・・・・。


彼女から放たれたボールは俺の手の中にバシンと飛び込む。


見てて・・・・・。


バムッ、バムッ・・・走りながらドリブルを繰り返すと、目の前にゴールが見えた。


あの日。


ゴールを見つめるキミと出会って、


空を見上げるキミと出会って、


俺は何度も何度も恋に落ちた。


構えた腕がしなると、指先からボールが大きく弧を描いてゴールに向って飛んでいく。


それは迷いなくまっすぐと、リングの中を通過して落ちた。


床を転がるボールの音だけが、このコートの中に響いていた。


汐・・・・。


ゆっくり彼女の方を見ると、汐は呆然と転がったボールを見つめたまま・・・・


「汐・・・・・」


大きな涙が、その瞳を包んだかと思うと、頬を伝って床に落ちた。