すると、一瞬びくっ、と体を震わせて彼女は俺を見つめた。 遠くて、良かった。 視線が合うだけで、もう、少し泣きそうになってる俺を知られたくなくて、キーホルダーをつかんだ手を挙げてみせた。 「もしかして、これ・・・・落した?」 瞬間、彼女は、あ、と言うように口を開いて驚いたような表情をしたように見えたけど、その次には安心したようにほっ、と笑った。 汐。 お前、どうすんだよ。 別れた彼氏を、いつまでドキドキさせたら気がすむんだよ。 ま、俺の勝手な意見なんだけどな。