『汐さん・・・・・そのまま病院から出て行っちゃって・・・。凱は目が覚めてから、ううん。寝てるときもずっと汐さんの名前呼んでて・・・・』
「サキ・・・」
『ごめんね、ごめんね・・・修兄。ガイが好きだったんだ。大好きだったんだ、私・・・・』
そう話をしてる俺の視線の先、2階のギャラリー席に、信じられない光景を見たんだ。
それは・・・・
ここにいるはずのない・・・・
「汐?」
愛しい・・・・彼女の姿。
反射的に跳ね上がる自分の心臓をなんとか抑えて俺は彼女を見つめた。
何か探し物をしてる?
座席の下を覗き込んだり、あたりを見回してる彼女に、思わず声をかけた。
「汐!」

