パニックになってるサキをなんとかなだめながら少しずつ見えてきた状況は、決して芳しいものではなくて・・・・俺はその間も必死に彼女の姿を探し続けていた。
ふざけるな。
ふざけるな、凱。
お前だから、汐を渡したんだ。
お前じゃないと、汐は心の底から笑えないんだよ。
お前がいないと、汐は・・・・幸せになれないんだよ。
電話を切ると同時に、トモに声をかけた。
「汐は・・・・っ?」
「え・・・・?」
「あいつは・・・・汐はどこなんだよっ!」
俺の剣幕に押されてトモがあわてて会場の外を指差した。
「今・・・・監督に連絡があって・・・・凱が・・・・」
「だから、汐はどこなんだよっ」
「あ・・・・凛が今、外に探しに行ってます」
「修也っ!」
その言葉を聞いた瞬間に飛び出そうとした俺をとめる声は、普段はほとんど大声を出さない監督のもので。
一瞬にして、周りの皆が動きを止めて俺達を見つめた。
「お前・・・・行ってやってくれ。汐ちゃんを・・・・そして凱を・・・よろしく、よろしく頼む」
「監督・・・・」

