ソラとクローバー☆もうひとつの『アルタイル』


「修也・・・・」



立ちすくむタイチの横をすり抜けてトイレに向う。


胸の奥からすっぱい吐き気が何度もわきあがる。


吐いても吐いても、おさまらないそれに・・・・俺は廊下の壁にもたれて座り込んだ。


「修也・・・・おまえ・・・・何もあそこまで」


タイチの声が耳に聞こえるけど、俺はうつむいたままその苦痛になんとか耐えようとした。


「汐に・・・・足が治りました、だけ言ってもきっとあいつは俺から離れない。スキとか、そういうんじゃなくて、それはただの義務感だよ。何かきっかけがないと・・・・そうだろ?」


「・・・・・」


「本当は・・・・こんなことしたくない。汐はきっと今泣いてる。泣いてるよ・・・タイチ・・・。こんなこと、したくなかったのに・・・・」


こらえきれない俺の嗚咽が、静かな部屋に響き渡った。


「汐が・・・・好きなんだ・・・・誰よりも・・・・好きなんだ・・・・・ごめん・・・・ごめんな、汐・・・・・ごめん・・・・・」



そばにいてやれなくてごめん。

きっと泣いてるお前の涙を拭ってやれなくてごめん。

なにより、傷つけてごめん。

傷つけて・・・・ごめんな。