ソラとクローバー☆もうひとつの『アルタイル』


そうだ。


俺は・・・・覚悟してたはずじゃないか。



手に握り締めたままだった携帯を開くと、俺はボタンを押した。



「修也・・・・?」


タイチがいぶかしげに俺を見つめる前で、電話の向こうから聞こえる声に、静かに目を閉じる。



『修ちゃん?』


あぁ・・・・俺は今から大好きな人を、何よりも大切な人をめちゃくちゃに傷つけようとしている。


「ごめん。結婚できない。別れよう」


何とか言い切った言葉に、胸が詰まってそれ以上声にならない。


お願い。


汐は自由になって、という気持ちと。


お願いだから、嘘でもいいから・・・すがってくれ、って、どこにも行きたくない、って泣いてくれ、って。


どっちにしろ、残酷な希望だ。


心が完全に体から離れてゆく。


『修ちゃんっ!』


最後の彼女の叫びに、俺は無情に電話を・・・・切った。