タイチは、うつむいた俺の頭をとんとんと叩いて、 「……修也…、気持ちはわからないでもないけど…それって今の汐ちゃんを信じてない、ってことにならない?」 「……」 「お前は、一体どこに向かってんの?……どうなりたいの?」 タイチの言葉がいちいち胸に突き刺さって、体の中でどろどろと溶け、俺の心を浮き上がらせる。 それは俺自身の良心だ。 汐を縛り付ける俺への唯一の良心の言葉。 俺は…俺達は過去をみないで、未来さえ封じ込めていた。