近くにいれることでそれで満足だったのに。


あの日。


あいつが現れた。


・・・・凱。


高校に行くことに渋い顔をしている監督が、珍しく、本場のプレイの参考になるから、と見るのを勧めた男。


背が高くて。


少し生意気そうな感じで。


けど、笑うと目がなくなる、ちょっと可愛い顔をした高校3年生。


家の都合でアメリカ留学してたのに、なぜか急にこっちに帰国。


少し、不思議な雰囲気をもつ奴だった。


だけど、さすがプレイの一つ一つが洗練されてて、


意外と話してみればはじけたキャラクターだということとあわせて、


俺はすぐに彼に惹き込まれた。



その時は、・・・汐が少しだけ無口になっていったことが、やっぱりオトナとコドモだなんて、てっきり俺達のことを心配してるんだと、能天気に思ってたんだ。