校庭をしばらく見ていると、何か耳に入り込んでくる小さな音。


"ダンッ、ダンッ"


って、何かを地面に弾ませる音。

校庭全体をキョロキョロと見渡すと、何か人影が見えた。

さっき、翔と部長さんがいたバスケットコートに、何かが見えた。



翔…なのかな。


気になって、気になって…仕方がなかった。



「………だから…もう……いいんだったば…。」



窓ガラスに背を向けると、静かに床に腰を下ろす。



私って、未練がましいのかな…。

フラれたなら、もう、それでいいじゃん。

相手の気持ちを、無理やりこっちに持ってくることなんて…出来ないんだから。

世の中のことすべてが、自分の思い通りになるわけないんだから。

翔の気持ちを、思い通りにできることだって出来ないことくらい…

わかってるよ。



なのに、なんでだろう。

あなたにフラれた日の夜に、私は…



"これからは、夢見るのは辞めて前だけ見てよう"



って、決めたのに…。

振り返ってしまいたくなる。




まだ、外から聞こえるボールの音が、私の耳の中でこだました。