「…い!さくら!!」
「っ…?」
「おーい!さくら!」
私の顔の前で、手を振る翔。
「なにぃ?」
「もう、着いたよ?」
あ。
もう、着いたんだ。
まだ、ネボケてる私の手を引く翔。
電車を降りる。
「いつのまに着いてたんだねぇ…」
「寝てる間、俺の腕ずっと掴んでたんだけど」
「え!?マジ?」
「マジ」
「また、恥ずかしいところを…」
あー…。
またやっちまったよ。
本当に私って、どんくさいなぁ。
そうだった。
私って、寝るときいつも抱き枕持ってるから、翔の腕を抱き枕だと思ったのか…。
ぅわ…。
これだと翔もドン引きだわな。
「まあ、ちょっと可愛かったけどな」
「ふぇ?」
か、かか 可愛い!?
だ、ダメダメ!ここで、赤くなっちゃからかわれる!!
それにしても…。
なんか、今日の翔、変に優しいな。
ノーメイクのことも、メイクしなくてもいいって言ってくれたし、翔の腕掴んで寝てたことも、可愛いで流してくれたし…。
どうしたんだろう?

