「つうかさぁ、なんだとは何だよ!‥‥だ…誰か待ってんのか?」


吉田が少し遠慮がちに訪ねてきた。


「別に…」

「そっ。」


一瞬、二人の間に沈黙が走った後、吉田がゆっくり口を開いた。


「なぁ…こんなトコにばっかいないで、どっか遊びに行かね??」


にっこり向日葵の花が咲いた様に笑う吉田。

もともと顔立ちが綺麗だし、性格もいい。背も高いし、正直もてると思うよ。

でも…


「……違う…」


いきなり言葉を発した唄。


「はぁ?」

「だって煩わしいもん!」

「わずっ?!…煩わしいって俺の事かっ?」


少し焦って聞き返す吉田に、軽くため息を吐いた。


「違う!蝉よ、蝉っ!!」

「セミぃ?」


そう呟いて外が見渡せる大きな窓に目を向けた。


―ミーンミンミンミン

外から聞こえてくる蝉の声

―ジージージー…


「あぁー、鳴いてるなぁ!」

「煩わしくて仕方なかったのよね…」


腑に落ちないと言う顔で唄が呟いた。


「それがどうした??夏の風物詩じゃん?」


龍之介は外から唄の方に視線を戻し言った。


「彼がいると…心地よかった。」

「は?」

「っ/////」


私、今…何て言ったっ!?