ハニー*スパイス


ドアが閉まった瞬間、ドサッて肩から下げていた通学バッグが床に落ちた。


そして駆け出す。



一直線に向かったのはアトリエ。


勢い良くドアを開けて中に入る。


ズンズン足を進めて、クローゼットの前に立つ。


他人のクローゼットを開けるという罪悪感なんて、その瞬間は持ち合わせていなかった。


あたしはなんのためらいもなく、クローゼットを開けた。



冴子さんの言ったとおり

そこには布でくるまれた、1枚のキャンバスが立てかけられていた。



手が震える。

見ないほうがいい。


そんな気もしたけど、もう止めることはできなかった。


ゆっくりと布を引っぱる……。