「時々、窓の外、眺めてるでしょ? あれ、彼女がくるのをずーっと待ってるのよ」 「ウソ……」 声が震える。 でも、真実味はあった。 頭には岳さんが窓の外を眺めている時の表情が浮かぶ。 切なくて……悲しそうな目をしてる岳さんの顔が。 「ウソだと思うなら、アトリエのクローゼットを開けてみて? そこに彼女の絵が置いてあるから。 百合(ユリ)って名前の、すごい美人よ? 前に岳、言ってたの。 『この店を開けたのは彼女のためなんだ』、 『彼女に会いに、日本に戻ってきたんだ』って」