「痛っ……」


そしてその瞬間が来た時……。


体をこわばらせるあたしに、岳さんが耳元で甘く囁いた。



「“好き”って言えよ?」


「えっ……」


「いいから、好きって言ってみ?」


「す……き……」


「ずっと言ってろ……」


耳に熱い息がかかる。


「好き……好き……」


ギュッと岳さんの体にしがみつく。


こんな時でもやっぱり岳さんは意地悪で……


あたしにばっかり言わせて


一言も返してくれなかった。