建物の中からは、ふわりと甘い香りがする。 なんだろう……これ。 甘いだけじゃなくて……スパイシーな香り……。 お菓子? ついつられて足が進みそうになったけど。 あることに気づいてしまった。 ドアに添えられた彼の手。 指先が真っ赤に染まっている……。 ――血? まさか……。