ハニー*スパイス


カウンターの中から出てくると、あたしの隣のスツールに腰掛けた。


そして顔を覗き込んでくる。


「オレ、椿の考えてることわかるよ?」


「え?」


「ホントはパパを盗られるのが嫌なわけじゃねーんだろ?」


岳さんの見透かすような茶色の瞳にあたしが映る。


クッと口の端を上げて、一瞬笑ったかと思ったら、意地悪そうな顔で言う。



「パパが“男”だったことがショックなんじゃねーの?」


「……」


言葉を失った。


ずっと抱えていた不安を言い当てられたような気がしたから。


「“パパ”はずっと“パパ”でいてほしかったんだろ?」


「……」


「なのに、今日、はっきりと“男の部分”を見せつけられた。
それに落ち込んでんだろ?
だから、お前はガキなんだっつーの」