岳さんは一瞬ピクンと眉毛を上げてから、ため息をひとつ。 「あのなぁ……。 上目遣いで、目、うるうるさせて……」 そして呆れたような声で言う。 「どういうつもりなのか知らないけど。 あんま警戒心のないこと言ってると、……お前、簡単に男に食われちゃうよ?」 「いいよ」 あたしは、ツンと顔を上に向けて、精一杯強がる。 「岳さんになら食べられても」 彼の息や体の熱を感じる。 ゆっくりと顔が近づいて、さらに体が密着する。 視界にはもう岳さんの顔しか映らない。