「ごめーん。あたし、いつの間にか寝ちゃってたみたいで……って、アレ?」
【Private】と札のかかった部屋から女の人が出てくるところだった。
その女性も驚いたような顔をしていたけど、あたしの方がもっと目を丸くしていたかも。
この季節には不釣合いな、やけに体にフィットしたキャミワンピを着ている。
胸や腰はちゃんと張ってて、なのにウエストは嫌味なぐらいくびれてる。
いかにも色っぽい大人の女性って感じだ。
大きく開いた胸元がすごく悩ましくて、女のあたしでも目のやり場に困る。
その人は襟にファーのついたジャケットをはおりながら、こちらに近づいてくる。
「めずらしい。
お客……さん?」
「ああ」とだけ短く答える岳さん。


