やがてその場所にたどり着く。



久しぶりに来るヘクセンハウス。


窓から漏れるオレンジ色の灯りにホッとする。



息を整え……。


それから、そっとドアを開けた。


その瞬間、懐かしい香りに包まれた。


甘くてスパイシーな……あの香り。




最初に目についたカウンターの中には誰もいない。


視線を動かすと、窓際の席に座る岳さんの姿があった。



3年も経ったなんて思えない。


茶色いクセ毛も、タバコを咥えた意地悪そうな表情も……あの頃のままだった。