「まぁ因果応報……っていうか。
百合さんの人生はあまり良いものではなかったと思います。
岳を捨てた後、一緒に暮らしていた男とはすぐに別れて、その後はまた別の男性と……っていう生活を繰り返していたみたいなんです。
岳は大事に育ててくれたおじいさんやおばあさんの手前、母親のことを気にかけるそぶりはしていなかったんですが。
2人が亡くなってから、興信所を使って母親の行方を捜し始めました。
そして当時パリで暮らしていた岳のもとに、興信所から連絡があったんです。
母親が見つかったと」
「……」
「どうしても日本に行きたいという岳を、僕は止めることなんてできませんでした。
スポンサーにはなんとか話をつけて、スケジュールを調整して、とりあえず1ヶ月だけ、彼に休暇を与えました」
「それで日本に帰ってきたんですか……?」
きっと初めてあたしが岳さんにヘクセンハウスで出会った頃のことなんだろうな。
「だけど、今でもあの再会が良かったのかどうか……僕にはわかりません」
「どういう意味ですか?
岳さんはお母さんに会えたんですよね?」


