「あたしのこと、すぐにわかったんですか?」 そう尋ねると、山口さんは深く頷いて壁にかかった絵を見つめる。 「岳は、この絵以外にも、アナタをたくさん描いていましたから」 「えっ」 「それに……。 アイツが自分の母親以外の女性にあんなに執着したのは初めてだったから」 「母親……?」 思ってもいなかったキーワードに、あたしは目を丸くする。 「椿さんも見たんでしょ? アトリエのクローゼットに置いてあった絵」 そう言われて、驚きのあまり目を見開いた。 「えっ…… それって、百合さんのこと?」