言われてみれば、ドアの横に携帯電話の文字盤みたいに、数字や文字の書かれたボタンが並んでいた。 「すごい……凝ってるんですね」 「ええ。GAKU SERIZAWAの遊び心みたいなもんですよ。 この奥には特別な人にだけ見てもらいたい絵が飾ってあるんです」 「特別な人……?」 期待しちゃいけないのに。 胸が高鳴る……。 落ち着け、心臓。 「試してみますか?」 係員に顔を覗き込まれる。 「でも、なんて入力すればいいか……。 岳さんがどんなパスワードを設定したかなんて想像もつかない」