「マフラーありがと」


あたしはマフラーをギュッと握り締めて、鼻のあたりまで顔を埋めた。


「岳さんの幸せ、祈ってる。ずっと……」



めいいっぱい背伸びをして、チュッて……


今度はあたしからふいうちのキス。


岳さんは頬を触って、呆れ顔。


「お前なぁ……」


「じゃ……」と最後はとびっきりの笑顔で。


サヨナラは言いたくなかったから。

あたしはこの言葉をアナタに捧げるの。




「行ってらっしゃい!」