ハニー*スパイス




それからまたあたし達は他愛のない話を続ける。


「ねぇ、岳さん。
もうすぐクリスマスだよ?
この店、飾りつけとかやらないの?」


「何のために?
客もこねーのに」


タバコの煙を吐き出して、岳さんはまた怪訝そうな顔をする。


「いいじゃん」


パンとあたしは手を打った。


「この店、クリスマスっぽく飾りつけしたら、絶対可愛いって!
ね、あたしが勝手にしてもいい?」


「やめろ。
すげー少女趣味にされそう」


「あー。ワクワクしてきた!
今度、家からモールとかリースとか持ってこようっと」


「って、お前、ヒトの話聞いてる?」


「うわっ。マジで楽しみになってきた。
そういえば、昔ママとふたりでこっそり飾りつけして、仕事から帰ってくるパパを驚かせたことがあるんだ。
あの時、パパすごくびっくりしてたなぁ……」


過去を思い出してそんな話をしていたら。


「もう、勝手にしろ……」


岳さんは呆れたように笑った。