「別にそんなたいそうなもんじゃねーよ。 シナモン、コリアンダー、ナツメグ、クローブ、カルダモン……アニス」 「えっえっ。 そんなにいっぺんに言われても覚えられないよっ! てか、そんなにたくさんのスパイス使ってるんだ……どおりでクセがあるはずだよね。 甘さもなんか独特っていうか……」 「ああ、それは蜂蜜だよ」 「そうなんだ。 この甘さは蜂蜜かぁ……」 うんうんと頷く。 「あたし、初めてこれを食べた時、岳さんみたいだな……って思った」