…部屋が沈黙に包まれてた。

息苦しい雰囲気。

何かを口に出したら、
涙がこぼれそうだった。

吐きそうなくらい胸が痛かった。

ハッキリと思い出した感覚。


…重苦しい雰囲気を変える様に、父親が無理矢理の笑顔で


「さぁ、荷造り続けようか。明日出発だ。」


と、居間の段ボールに荷物を詰めていた。


「うん。」


窓の外を見つめたまま、やっと声を搾り出して答えたんだ、私。


荷造りをしながら
無理に明るい声で父親は話してくれてた。


「小さい頃おまえも行った事あるんだぞ?覚えていないか?空気も綺麗だし、川でも泳げるんだぞ。おばあちゃんもおまえと住めるのを楽しみだって。きっとおまえも気に入るよ。」


「…うん。」


鏡を見て笑おうとはしたけど、
どうしても笑う事が出来なかった。

泣きそうなのを我慢している顔だった…。