少し古めの家が建ち並ぶ
住宅街の中程に差し掛かった女は、
少し大きめの公園の入口にバイクを停めた。


とは言っても、
住宅街の公園である。

すべり台にブランコ、砂遊びの出来そうな砂場に、
幼い子供が数人走り回れる程度の広場。

そして、その公園の歴史が一目で判るような立派な桜の木が、それらを見下ろしているかのように立っていた。


ヘルメットを抱えてベンチへと向かう女。


疲れた身体をベンチに投げ出す。


…と、
少女がひとり。
女のほうへ近付いて来るのに気付いた。


女は疲れた顔を出来る限り綻ばせてみる。

最近笑ってないや。
笑顔になってるのかな…

一瞬不安になったが、
少女の笑顔を見て少し安心出来た。


ホッとした溜め息のお陰なのか、自然な笑顔に近づいたようだ。