僕はただよっていた。




 不思議と痛みは消えていた。しかしここはどこなんだろう、見渡す限り真っ暗。怖くは・・・無い。だって心臓は静かだし、後ろに何かの気配、とか下から髪の毛の長い女がこんばんは、とかそんな事が起こる様な気配が皆無なのだ。

 僕はただそこらへんをゆらゆらと上にいったり下にいったりただようだけだった。

 何か大きな力に引き寄せられ上にいき、下にいくのは別の大きな力に引き寄せられるから。まるで時計の振り子運動の様だ。


 ──・・・しかし暇だ。早く何か変化が起きないものか。


 それが祟ったのか僕は下にずずっと落ちていった。