電話は30秒で終わった。
私は恐る恐る聞いてみた。


『電話友達?』


「違うよ。弟だよ。学校サボったらしい。」


『弟いたんだ。』


蓮の弟の事で話していると
ピンポーン。とインターホンの音がした。


「帰って来たみたいだな。鍵開けて来るから待ってて。」


そういうと蓮は鍵を開けに玄関に行ってしまった。
なぜかとても緊張していた。
蓮は、弟と共同の部屋だったから弟が入って来るんじゃないかってドキドキしてしまう。


「兄ちゃん、母さんまだ帰って来てない?って、女の靴じゃない?また女家に連れこんでんのかよ。」


「母さんはまだ帰って来てねぇよ。てか、そうゆう事言うな。美優に聞こえるし勘違いされんだろ。前の俺はそうだったけど今の俺は違うの。」


「美優ちゃんって名前なんだ!美優ちゃんの事食べたらダメだよ!」


「うるっせーな。食べねぇよ。第一俺好きな人いるし。」


蓮の部屋は玄関のすぐ近くだった。
弟と蓮の話しは丸聞こえで私は何がなんだか訳が分からなくなってしまった。
心臓はバクバクしていて、頭の中は真っ白で、泣く事さえ忘れていた。