あの日から川崎亮大は
毎日、毎時間、
私に話しかけてくる。


「ひーなーちゃーん」

「なに?」

「お前俺にだけ冷たくない?」

「んなことないよ」


確かに、他の男の子には
普通に話すけど、川崎亮大は
゙女泣かぜ゙恋愛ハンター゙って
インプットされてますから
近寄りにくいんです(笑)



「だから笑ってる場合じゃ
ないって言ったでしょ」

「んなの知らないよ…」


美香いわく、川崎亮大の
次のターゲットは私らしい。

周りの女の子も私のことを
噂してるらしく…視線が
突き刺さるくらい痛い。


「私やだよ…」

「確かにあんたのタイプと
かけ離れてるよね(笑)」

美香はそう言って、
目の前にある私のジュースに
口をつけた。


「あ、私のジュース!!」

「へっへ~♪」

美香はベーっと舌を出すと
私から逃げ始める。

負けじと私も美香を
追いかけていると…


―ドンッ


「いった~…ごめんなさ…」

「陽菜ちゃん大胆♪」


ぶつかった相手は運悪く
川崎亮大で…しかも
今の体制は私が奴の上に
乗っかってる感じな訳で…


「…っ…!!」


恥ずかしくて急いで離れると
美香が面白そうに私達を見て
教室から逃げていった。


(美香のやつ…!!)


「てーかー痛かったんだけど」

「あ…ごめんね!」

「ごめんで済んだら警察
いりませんよー」

「は!?」


(川崎亮大め…むかつく…)


「罰として今日から俺の事
名前で呼んでね」


可愛いらしく語尾にハートを
付けるくらいの勢いで
私に言う川崎亮大。

なんで私があなたを名前で
呼ばなきゃいけないんですか!
なんて言える訳もなく。