ピ――――。 試合開始の合図。 始まったんだぁ。 私がずっと目で追っているのは、お兄ちゃんではなく 巧馬くんでもなく、 他の誰でもなく、 ・・・・・・シンだった。 パスがうまくいかなくて、心の底から悔しがる顔、 シュートが入ったときのあどけない笑顔。 私の心が シン でいっぱいになっているとき、 時計を見ると海南との約束の時間まで30分しかなかった。 どうしよ・・・。間に合わない;; 海南に、今回だけは ごめん! 断ろうとした時・・・・ ドンッ!!! 「痛ぇ・・・」