ホテルの部屋に戻って…

ようやく私は考えをまとめて、それを口にした。



「ねぇ、陸くん。私ね…陸くんが好き。
早く結婚したいって気持ちはないって言ったら嘘になる。
でもね、今…お互いの親に迷惑かけてまで…早く結婚する意味ってあるのかな?
お互いが愛し合ってたら、結婚って形にこだわることじゃないと思うし、卒業してからでも遅くないよ」



陸くんは、ちょっと黙って、
それからゆっくり口を開いた。


「うん。桃香の気持ちはもっともだと思う。
俺だってそう思ってたよ…今まではね」


「今までは?」


「うん…今回…桃香が突然事故にあってさ…3日も目を覚ましてくれなくてさ…
俺、桃香を失うんじゃないかって思ったら、怖くて怖くて…それで後悔したんだ。
 
バイトバイトって、お金貯める事ばっかり考えてて、でも結局桃香との時間無駄にして、
桃香がいなくなったらって思ったら、恐怖と後悔の気持ちでいっぱいで…どうしようもなかった」



陸くんの今にも泣きそうな表情…