「もともと桃香ちゃんは俺のタイプの人だったんだけど、
それ以来、余計に気になっていつも目で追うようになって。」
きっかけは些細なことだったけど、
そんな風に私を見ててくれた人が居たなんて。
「いつも見てて、どんどん好きになってく自分に気付いたんだ」
そう言って微笑む陸くんの顔は、本当に優しかった。
「でも彼氏さん居るの知ってたし…手の届かない憧れだって…」
「え?健吾のこと知ってたの?」
「一度、彼氏さんと一緒に電車乗ってるの見たんだ」
「あぁ、たしかに1度だけあったかも。健吾早く行く日で…」
「あの時さ、桃香さんの表情は恋する女の子でさ…すぐに彼が恋人なんだってわかった」
「……」
「正直、辛かったし、苦しかったよ。俺、ガキだし相手にされる訳ないんだけど…」
「そんなことないよ…陸くんは!」
「…?」
あ…私今…なんて言おうとした?
陸くんは…子供じゃない…私には立派な男性だよ…って?
陸くんを…1人の男の人として見てる?