◆陸Side◆



あぁ…そっか。

俺の信頼してる大切な人は…

桃香にとっても信頼できる人なんだ…。


怖くて…辛くて、悔しくて…

でもその時、抱きしめてくれたぬくもりは、
桃香にとっては男の人ではなくって、

信頼できる人のぬくもりだったんだ。



俺が信頼して、尊敬してる先輩で、
先輩から見たら、俺はかわいがってる後輩で、

だから桃香にとっては、



彼氏が信頼してる人。

彼氏を可愛がってくれてる人。

そんなイメージしかなかったんだ。



俺が信頼してる=桃香も信頼できる

そういう構図が成り立ってたんだ。


なのに…俺…


本気で大バカだ…


桃香をちゃんと信じてやれないなんて…最低だ…。


「桃香…ごめん!」

俺は力の限り、桃香を強く強く抱きしめたんだ。