陸くんは、そのあとも何もしなかった。
泣きやんでからも、私を後ろから抱っこして、
ベッドの隅っこに座って、私の話を聞いてくれた。
健吾のこと。
はるかって名前のこと。
小さい子あやすみたいに、ポンポンって
私の腕を優しく叩きながら…
「うんうん」って優しく聞いてくれた。
それがすごく暖かくて、すごい安らいだの。
どっちが年上なんだかわかんないよね。
でも、陸くんの存在が、ぬくもりが今の私には支えになってた。
「桃香さん、辛かったね。我慢してたんだね。不安だったよね?」
「ん…好きだから…苦しくて…」
「でも大丈夫だよ。もう1人じゃないよ。俺がいる…」
ギュッと陸くんの腕に力がこもる。

