大切な物は平凡な日々ではない。

どんなに苦しくても、痛い思いをしようとも、奴を必ず見つけ始末する事。

だけど、僕は弱い人間だ。

虚勢を張っていかなければ、倒れてしまうかもしれない。

怖さで逃げ出してしまうかもしれない。

それでも、幽かに自分の胸の奥には誰も変える事の出来ない闇があるんだ。

言葉で変えられるのなら、アキラとは闘わない。

痛みで変えられるのなら、海江田とは二度も三度も闘わない。

涙で変えられるのなら、桜子に拳は向けない。

何があろうとも、この手で奴を仕留めなければならない。

それが、僕の生きている意味。

終わったらどうするかなど、考える気などない。

現実的ではないというのなら、それでいい。

だけど、やらなきゃならないんだ。

奴の手がかりである海江田と戦った。

海江田が死んでも、誰かが殺したと非難しても、続ける意志がある。

それが答えだ。

「やはり、お前は協力者なのかもしれない」

「耕一さん」

「お前の言葉は、結局のところ僕を復讐に向わせている」

「そうですか?」

「非難する気はない。何故なら、道の修正を図ったのは紛れもなくお前であり、資源をもって進むべき道を歩ませてくれている」

「ですが、抑える事を知らない者を誰かが抑える。そんな当たり前の事を出来ない私は、きっと駄目な者なのかもしれません」

「自覚しているのならいい」

しかし、これからどうするかが問題である。

今のところは、奴の手がかりはゼロだ。

能力者を辿って行けば、奴に突き当たる可能性がある。

可能性であり、絶対ではないがな。