「グ、フ」

突如、海江田は吐血する。

「海江田?」

「お前には、勝てんよ」

海江田は人間だった。

能力を扱い、身体に異常が出たのか。

力を失った海江田は地面へと倒れた。

「お前!乾の場所を教えずに死ぬのか!?死ぬのなら、吐いてから死ね!」

だが、海江田が答える事はない。

絶命している。

「くそ」

「どけ!」

先生が僕を押しのけて、海江田の様子を伺う。

「救急車だ!早く呼べ!」

道場が騒然となる中、僕の意識は虚空を彷徨っていた。

乾へ手がかりを失ってしまった。

「海江田君に何をした?」

「何もしてませんよ」

海江田は乾に関わった事により、生命を失ったといってもいい。

乾は危険な男だと、再び思い知らされる。

「君はここに残ってもらう」

「そうですか」

脱力感。

それだけが僕を支配している。

何故だ?

何故、辿り着けない?

そう、定められているというのか?

ふざけるな。

僕はまだ生きている。

乾だってまだ生きている。

奴が生きている限り、人体実験は終わりはしない。