夜獣2-Paradise Lost-

僕が桜子に構っていると、在る事に気付く。

「まだ、終わりじゃないか」

いつの間にか数人に包囲されている。

心の中で闘争本能がざわめき出す。

桜子の事は頭の中から消え、倒す手段が浮かび上がる。

「8人か」

姿を見せたのは、様々な色をした人間達。

8人には、同じタトゥーが刻まれている。

日本人を止め、どこかの民族にでもなったのか。

「楽しくなるな」

多人数になれば、成長が速くなる。

それに、まだ疲れは出ていない。

8人を相手にするくらいは出来そうだ。

「人は一人では生きられないが、お前等のやっている事は酷いな」

「ウチのファミリーに手出したな」

「人語が辛うじて解るのか?だったら、かかって来るのか来ないのか決めてくれ」

理屈云々を述べている暇などない。

闘うのなら、時間を無駄にはしたくない。

「ああ、やっぱり人の言葉は解らないか」

「殺す!」

不良1が前へ出たのと同時に僕も走り出した。

他の7人も勢いづき、一斉にかかってくる。

全員が得物を持っており、撲殺、刺殺する気らしい。

まずは、目の前にいる一人を確実に仕留めにかかる。

不良1が木刀を振り下ろそうとするが、手前の部分で踏み込み立ち止まる。

タイミングをずらされた不良1は動きが鈍り、そこを利用して前へと踏み出て鳩尾に一発拳を撃ち込んだ。

「おげえ」

不良1が倒れ、斜め前にいる不良2の相手をしようとした瞬間に、後方から背中を鈍器で殴られる。