織田リョウは、そんな私のアゴに片手をかけると、無理やり顔を上を向かせる。


私の視線の先には、織田リョウの顔があった。


「名前は?」


「わ、私は、ルミ。・・・柴崎・・・ルミ。」


「ルミか・・・」


織田リョウは、一度、私の名前を呼ぶと無理やり上を向かされた状態の私に、顔を近づけてくる。


そして、私と織田リョウの唇が接触する寸前に、織田リョウの唇は、私の唇をよけて、私の耳のすぐ側に置かれた。


「俺が・・・リョウだ。・・・織田リョウ。忘れんなよ。」


そう言うと織田リョウは、私の耳を、織田リョウの乾いた唇で甘噛みしてから、私から距離をとった。