大嫌いな西田桃の言葉が、不思議とすんなり浸透した。

無駄なものなんてない?本当に?じゃあ、この気持ちは?

この、行き場のない気持ちは、なんの意味をもたらすっていうの?

――結局、綺麗事なんだよ。

「西田さんってさあ、亮と付き合ってるんでしょ?私、知らなかったから、びっくりしたよ」

西田桃は、ふ、と笑うと睫毛を伏せた。

「桃さあ、体育祭の日マジ高橋さんにムカついたんだあ」

「……うん」

「彼女の桃を差し置いて何でそんな子ばっかり気遣ってんのよって」

あの日の、亮は。

「桃ね、入学式の時、亮に一目惚れして、即行告ったの。亮はお互いまだ全然知り合えてないのに付き合えないって言ってたけど、『だんだん好きになってくれればいいから』って言って、桃達は、付き合うことになったの」

「そうだったんだ」

「そんで、ずっと傍にいるうちに桃はもっともっと亮のことが好きになっていったけど、亮は……」

亮は?